前回の記事では、炭素循環の概要を知ってもらいました。
https://ok-farm.jp/tan-jun-1-gaiyou1/
この記事ではメリットについて主に解説します。
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炭素循環農法のメリット
①野菜が美味しくなる
②作物の連作が可能になる(マメ科除く)
③トラクター等の機械を使用しても良い
④農薬、肥料、石灰すら不使用で栽培
⑤必要な資材が、身近にある、高価でない
①野菜が美味しくなる
炭素循環農法の畑が完成した場合、慣行農法で言うところの化成肥料はもちろん、鶏糞などの自然由来の肥料も不要になります。
すると、作物の中の硝酸態窒素などの『無機態窒素』という数値が低くなります。
硝酸体窒素という成分が多い野菜は、食べた時に『苦い』『エグ味がある』などのネガティブな味わいが多いそうです。
最たるものは、葉物野菜のコマツナやほうれん草かな?と私自身は思っています。
品種や、その作物を栽培する土地の気候による条件もあると思いますが、『この野菜の中の硝酸体窒素はどのくらいか?』というのが味に関係してくるワケです。
炭素循環農法を通して、土壌の無機態窒素がゼロになれば、その苦味やエグ味も消え、野菜本来の美味しさが現れる、とのことです。
作物によって、その味の差がどれほど出るのかは程度があるとは思いますが、イチ農家として、やはりこの『味の良さ』には興味があります。
まだ自分の圃場で土作りが完成していないので、実際の比較が出来ていないのはお許しください。
②作物の連作が可能になる(マメ科除く)
炭素循環農法では、『作物の連作をした方が良い』というニュアンスで解説されています。
慣行農法はもちろん、化成肥料を使わない農法の『連作は避ける』(続けて同じ作物を栽培しない)というのが基本的な考え方です。
作物A→作物B→作物C→再び作物A
のように、ローテーションを推奨しているわけです。
自分自身が慣行農法をしている時、教科書によく記載があったのは以下のようなものです。
『連作すると、1作目に増えかけていた病害虫が、2作目で更に増え、健康に育たない』
『同じ肥料成分ばかり使う事になり、土壌の中の肥料バランスが極端に崩れ、生育が悪くなる』
作物によって、『3年は同じ作物を植えるな』『5年以上あける方がいい』『連作するなら土壌改良資材(薬剤のこともあれば、緑肥のこともある)を入れる』みたいな表現をされる事もありますね。
また別の記事で詳しく解説しようと思いますが、炭素循環農法では、肥料ではなく微生物から必要なエネルギーを吸収するため、連作をしてもよいという事です。
私のメイン作物「ごぼう」も、『連作障害が長い』というのが悩みのタネでしたが、連作期間を短く出来ないか!?と色々調べているうちに炭素循環農法の存在を知りました。
ただし、解説されている林幸美さんによると、『マメ科』だけは連作ができない、とのことです。
慣行農法、自然農法では結構おなじみなのですが、『マメ科を植えると、窒素分を畑に固定できる』というメリットがあるのですが、炭素循環農法においては、この窒素の固定が良くない影響を与えるとのことです。
詳しくは、また別記事で紹介しようと思いますが、『マメ科以外は連作可能』と覚えておいて下さい。
③トラクター等の機械を使用しても良い
炭素循環農法においては、『必要ならトラクターなど、機械を使用して大丈夫』だそうです。
提唱者ご自身も、ブラジルの大農園で、機械を使用されています。
日本では見かけないくらいの巨大なサブソイラーをつけたトラクターで硬盤を破砕したり、ロータリーで畑の手入れをしておられる写真が、林さんのホームページでも紹介されています。
『自然農法』というジャンルでは、『なるべく機械を使わない』『そもそも耕さない』など、色々な考え方、ポリシーがあったりします。また、農法によって、栽培可能な広さが違います。
それぞれにメリット、デメリットがあるのですが、私自身は『2ha程度の畑』を管理しているので、どうしてもトラクターや重機が必要な状況にあります。
この農法、興味あるなー!と思っても『トラクターで土を踏み固めるのはよくない』と断言されたら、残念ながら実践は難しいわけです。
炭素循環農法は、『必要ならどんどん機械も使え』と言ってくれているので、規模拡大もしやすいし、安心して取り組めるなぁ、私に合っているなぁと思っています。
④農薬、肥料、石灰すら不使用で栽培
概要紹介の記事などでも少し触れましたが、炭素循環農法は、『微生物を飼う』という考え方をします。
そして、「微生物由来」の栄養素で作物の手助けをします。
微生物にとっていい環境を突き詰めると、「農薬を使わない」「化成肥料を使わない」ようになってきます。また、鶏糞などの自然由来であっても肥料は使わない方がよいそうです。
炭素循環農法を初めて知った時、『とはいえ、流石にpH調整だけはしておかないと肥料が吸収出来んでしょ?』
と思っていましたが、何とpH調整まで不要。すなわち石灰などの調整資材も不要とのこと。
別記事で詳しく紹介しますが、pH調整は『土壌の肥料分を効率よく吸収する』という考え方がもとになっています。
炭素循環農法では『肥料ではなく、微生物から栄養素をもらう』という考えなので、ph調整も不要だそうです。
ただ、私個人の一抹の不安として、酸性雨の影響が今後更に悪化した場合など、畑のpHが大きく崩れた場合はどうなのかなぁ?と思ったりはします。
とりあえず、林さんがホームページに記載された2010年頃?そして2020年現在はpH調整は不要とのことです。
⑤必要な資材が、身近にある、高価でない
このメリットも、たまたま『私に合ってるなぁ』と思った理由です。
炭素循環農法には、肥料や薬剤のかわりに、『有機物』を畑にどんどん投入します。
落ち葉、モミガラ(籾殻)、植物の残渣(ざんさ)、木質チップなど。
(あまり実践される方はいないと思いますが、例えば紙などでも大丈夫、とどなたかがおっしゃっていました。
シュレッダーダストとか有効活用できないかなぁ?とか思いましたが、インクの影響や、実際の資材調達といったハードルから、私はやる気はありません(笑))
そして、『新規で取り組むなら、キノコの廃菌床がベストだ』とおっしゃっています。
私の場合はキノコの廃菌床が手に入るツテがあったので、『コレはいい!』と思い、更にこの農法に興味を持ったわけです。
残念ながら、キノコの廃菌床が身近に手に入らない方でも落ち葉、籾殻、木材チップなどでも代用が可能です。
廃菌床というのは、キノコ農家さんからしたら『産業廃棄物』なワケで、場合によっては処分するのにお金がかかってしまうシロモノです。
籾殻なども、米農家さんやライスセンターのような施設からしたら、処分に困っている事が多いです。
ですから、ホームセンターで肥料などを買うのに比べると、安価である場合が多いようです。
最近は化成肥料の価格が少しずつ上がっているので、コスト面でもうれしいですね。
あなたの経営規模(家庭菜園から大農家まで)に合っている資材や、資材を持っている人が見つかるといいですね。
今後、追記があるかもしれません
2020年現在で、私が思いつくメリットは以上です。
実際に実験を繰り返して、更なるメリットに気づいた時は、また追記したいと思います。
次回は、炭素循環のデメリットについてです。
https://ok-farm.jp/tan-jun-3-disadvantage/
炭素循環農法の記事一覧はこちら
https://ok-farm.jp/tanso-junkan-list/
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