前回までの記事で、
炭素循環農法を実践するには何に気を付ければいいかを紹介しました。
キーワードの
「畑の浄化」「酸素」「微生物の餌」
などにも、だいぶ馴染んでもらえたのでは?と思います。
慣行農法から、炭素循環農法に切り替えた場合でも、
耕作放棄地を新たに炭素循環農法で取り組む場合でも、
手順を間違えなければ、
少しずつ「浄化」が進み、「微生物」が増えていきます。
そして、作物の生育も良くなっていくわけですが、
これがさらに進み、「畑が安定」した場合は
どういった現象が起こるのでしょうか?
私自身、まだ完成したほ場はなく、まだまだ浄化中ですので、
実際の写真がないのが申し訳ないのですが、
提唱者の林さんがおっしゃる、「安定した畑」の特徴を紹介します。
安定すると、邪魔なものが全て消える
キャベツ畑が1枚あったとします。
そのキャベツ畑が「安定」したとなると、
その畑からは、「キャベツ」以外のものが全て居なくなります。
正確には、「キャベツ」と「微生物」以外何も居なくなります。
具体的には、
「病原菌」「害虫」「益虫」「雑草」「トンボ」「スズメ」などなど、
収穫したい作物と微生物以外、何もいなくなります。
多分、炭素循環農法に触れた事が無かった方は、この時点で
「妄想」「夢物語」などと思うでしょうし、、
全く信じられないと思います。
何を隠そう、私自身も信じられませんでしたし、
まだ正直、半信半疑です(笑)
(ただ、その可能性の前兆のようなものは感じています)
敵 味方関係なく、そこに存在する意味が必ずある
人間が作物を育てていると、どうしても人間基準で
「コレはいい虫」「これはいい菌」
「コイツは害虫」「コイツは邪魔な草」「イヤな病気」
など考えてしまいます。
自然界の生き物は
人間にイジワルをしようとしているわけでもなく
人間の手助けをしようとしているわけでもありません。
ただ単に「生きるためにその行動を取っている」だけです。
人間からすると、
人間の味方、敵のように見えるだけで、
意志をもって人間と関わっているわけではなく、
「たまたま」そうせざるを得ない状況になったから
畑に現れただけです。
まずは「敵」「味方」の概念を捨て、
「何故コイツ(虫、雑草、病気)は、ここに居るのか?」を
考える事が、最初の一歩です。
生物ごとの「存在する」理由「居なくなる」理由一覧
具体的に、何故その生物が存在するのか
また、どうすればいなくなるのかをかいつまんで紹介します。
病原菌
腐敗分解できる作物があるから
→腐敗分解できる作物が無くなれば、居なくなる
厄介な抜けにくい雑草
腐敗があり、団粒化していない土に生えるから、抜けにくい
→腐敗が無くなり、団粒化すれば雑草は生き辛くなる
害虫
腐敗しやすい作物があるから
→作物の腐敗がなくなれば居なくなる
スズメやカラス
腐敗がある人里に適した食性を持っているから
(腐敗した味を好む)
→やはり腐敗が無くなればスズメ等も来なくなる
モグラ
腐敗した畑を分解しようとしているミミズを食べにくる
→腐敗が無くなり、ミミズが消えればモグラも来ない
イノシシ
ミミズなどがいる「餌場の匂い(腐敗臭)」に釣られて寄ってくる
→同じくミミズが消えると、来る必要がなくなる
シカは例外かもしれない
上記の微生物~イノシシまでは、
「畑が浄化すれば居なくなる」と、提唱者の林さんはホームページで断言されている一方、
「シカは畑の清浄度とは無関係?」「過繁殖によるエサ不足」などとおっしゃっており、
「シカはオオカミの代わりにヒトが食べてやる必要がある」とも記載されています。
さすがにこれは無理でしょ?と思っている疑問点
提唱者の林さんはこうおっしゃっていますが、
私自身は「さすがにコレは無理じゃないか?」と思っている項目がいくつかあります。
病気や害虫に関しては、実際に今現在、
耕作放棄地の後にはミミズが少なかったり、
害虫がほとんど出なかったりするので、
「確かに有りうるな」と思っているのですが、
「スズメやカラス」「イノシシ」
に関しては、今まで何度となくイノシシにジャガイモやニンジンを食べられたり
キュウリやスイカをカラスにつつかれたことがあるので、
「完全に畑が安定したとしても、さすがにそれは無理じゃないか?」
と思っています。
ただ、私より先に炭素循環農法に取り組んでおられる農家さんの話を聞くと、
「確かに畑からトンボがいなくなった」「鳥もあまりこない」
という方もおられるようなので、実際の所は分かりません。
今後もブログを通して、カラスやイノシシについても紹介出来たら、、
と思っています。
次回予告:生態系のピラミッドから見る生物量と生物種
今回の記事では、「安定した畑には、作物と微生物しか存在しなくなる」
という事と、「生物がそこに存在するのには理由がある」という事を紹介しました。
次回は、この話の続きとして、
「安定した畑を生態系のピラミッドを使って考察するとどうなるか?」
を紹介します。
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