15炭素循環農法 実際のやり方①資材調達~植え付け前まで

このブログを、1から14までずっと読まれてきた方は、何となく炭素循環農法のポイントが分かってきたと思います。

「微生物」「餌」「発酵」「酸素」などなど・・・。

今回の記事では、実際にどういった農作業をしていけばいいのかを、もう少し詳しくお話しします。

目次

初回のみ硬盤を破砕する

https://ok-farm.jp/tan-jun-7-koubanhasai/ でも紹介しましたが、まず、酸素が深い位置まで届くように硬盤を破砕します。

粘土質の土地の場合など、水がたまりやすい土地の場合も同じように掘れるだけ掘ると、改善が早いです。

初回のみ、天地返し(30cm以内)をする

天地返しとは、農業用語で、下の土と上の土を入れ替える作業です。

ショベルカーで硬盤破砕をした場合は強制的に天地返しをした事になりますが、サブソイラなどで硬盤破砕をした場合でも、地表から深部への土の配置はそのままです。

それを、いったんひっくり返し、空気に触れさせます。高度に汚染されている畑の場合、天地返ししたことにより
『有害物質(←提唱者がこうかかれていましたが、具体的に何かは記載なし。無機態窒素?)
の影響で、作物が育ちにくい。

また、窒素分や塩類は、地表近くに出る事で水分が飛び濃度が濃くなるので、やはりしばらく作物が育ちにくい状況が続く』という事です。

高炭素資材を調達する

モミガラ、雑草、落ち葉、木材チップ、キノコの廃菌床など、微生物の餌を用意します。

普通栽培から一番最初の段階では、「キノコの廃菌床がいい」と提唱者の林さんはおっしゃっていますが、キノコの廃菌床もあくまで「餌」です。

廃菌床が用意出来ない方の場合、少し進捗具合は劣るかもしれませんがモミガラ、落ち葉など、身近なものを用意して下さい。

また、なるべく「腐敗しにくい」状態のものを用意しましょう。簡単に言うと、水分が多く、ベチャベチャな状態のものは腐りやすく、畑に悪影響です。簡単に言うと、カラっとしたものの方が無難です。

キノコの廃菌床は、「新鮮」なものを使いましょう!

廃菌床は、文字通り菌の寝床です。酸素が足りなくなると菌は死にます。「廃菌床を狭い場所に積み上げて」いたりすると中心部の菌は酸欠で簡単に死にます。

1日もすれば、外側の菌は元気でも、中心部分は灰色のカビのようなものが付き腐敗した匂いがします。

「廃菌床をもらったら、なるべくすぐに畑にまく」
「キノコ農場の方にも、直前の保管方法を確認する」
「やむを得ず放置する場合は、廃菌床をなるべく薄く広げ、酸素を与える」
などに気を付けて下さい。

資材調達が大変な場合は、イネ科の緑肥を

資材の調達が難しい、散布する機械が用意できないという方は、緑肥を植え、すきこむのがオススメです。

緑肥をすきこむ目的は炭素の固定が目的です。

オススメは、イネ科の緑肥です。夏はソルゴー、冬はエンバクなど。

マメ科は、イネ科に比べ窒素分が多いため、炭素循環農法においては不向き。

マメ科の緑肥は避けた方が無難です。

投入する量は、清浄度によって異なる

1つ前の記事 https://ok-farm.jp/tan-jun-14-shuuryou-suii/

でも触れましたが、炭素を投入する量は、『最初は少な目→途中から増やす』です。

慣行農法から転換の場合、10a(1反)あたり、1作につき1~1.5tの餌を与えます。

慣行農法と比べて、だいたい3/4(75%)以上収量があるのなら、まだまだ前年の肥料分(無機態窒素)が残っているという事。

同じくらいの炭素資材を投入し、また作物を育てます。(おすすめの作物は白菜などの葉物。虫食いが最初ひどいが、根が浅いため、浅い位置の浄化さえ終われば、その後結果が出やすい)

収量が3/4を下回る程度になってきたら、高炭素資材を入れる量を増やします。

目安は最初の2~3倍。つまり10aあたり1作につき、2~4.5t程度です。

1つ前の記事にもありますが、
・前年まで耕作放棄地(目安10年以上)
・新開地
の場合は、無機態窒素がほとんどないと思われますので、最初から2~4.5t入れてもよいとおっしゃっています。

この記事の最重要ポイント:最初は浅く混ぜる

高炭素資材をまんべんなく畑にまいたら次はこれを浅くかき混ぜます。

トラクター等を使っても構いませんが、ポイントは、「浅く」です。1年目は10cm程度の深さで混ぜます。

深くまぜこむと、高炭素資材の分解に必要な「酸素」が届かなくなります。


キノコの廃菌床に関しては、特に酸素を多く必要とするので気を付けて下さい。

また、多少効率が落ちますが『高炭素資材で、腐る心配があるもの』は、まぜこまずに畑の表面に置いておくだけでOKだそうです。

順調に行けば、翌年には5cm深くする

高炭素資材を土の中に混ぜ込み、分解されると、最も効率よく団粒化が進みます。

団粒化が進めば、深い位置に酸素が届きやすくなるので、かき混ぜる深さを深くすることができます。

初年度10cm
2年目15cm
3年目20cm
4年目25cm(このくらいが通常のトラクターの限界)
のような感じで、少しずつ深くしていきましょう。

畝を立てるか?

提唱者の林さんは、「畝はあえて作らなくていい」と断言された上で、作業性や作物に合わせ畝立てが本当に必要ならその時にすればよい、とおっしゃっています。

表面の土を集めて高くすることにより、
作物の出来具合そのものについては、
清浄化が進んでいない深い位置の土の影響を受けにくい、など、
空気に触れる部分が増える、など
転換初期はメリットもあるようですが、林さんのホームページ全体を見た感想としては
「畝立てにあえて労力を使う必要があるのか?
 意味が無いならやめた方がいい」という記述などから、畝立ては不要だとおっしゃっているのかな?とも思います。

次の記事では種まきから紹介します

記事が長くなってしまったので、とりあえず今回はここまで!
次回の記事では、ロータリー等で整地された畑に作物を植えていく際のポイントなどを紹介します!

最後までお読みいただきありがとうございました。

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