16炭素循環農法 実際のやり方②種まき~管理

前回の記事では、
炭素循環農法を実際にスタートする際に必要な準備などを
紹介しました。今回はその続きです。
前回の記事https://ok-farm.jp/tan-jun-15-yarikata1/
を未読の方は、そちらを読んでからご覧ください!!

目次

炭素資材を混ぜ込んだら、すぐに種まきする


慣行農法では、堆肥や肥料、石灰を混ぜ込んだら
『2週間寝かせて、その後に種まき』とか、資材をなじませる時間があったりしますが、
炭素循環農法では高炭素資材を混ぜ込んだら、
すぐに種まき/定植にとりかかって大丈夫です。

オススメは、葉物野菜

別記事で紹介しますが、栽培する野菜に指定がない場合は、葉物野菜をオススメします。
やめておいた方がいい野菜も併せて
詳しくはまた改めて。

微生物のために水はあまりやらない方がいい


炭素循環農法は、ブラジルなどの雨季と乾季が分かれている地域でも実践されています。
当然、面積が広大になったら、水やりをこまめにやる労力はかけられません。
炭素循環農法では、発芽して初期生育さえしっかりすれば、慣行農法に比べて下に根が拡がりやすい。つまり、畑の持っている「水を与える力」が多いのです。
慣行農法から転換して最初の頃は、
(土の状態がまだ改善されていない時期)
水やりをしないと育ちが悪い事もあると思いますが、可能な限り水やりをしないようにしましょう。

日本の気候だと、自然と雨が降りますし
微生物の事だけを考えると、極度に水やりをすると
微生物が窒息死する可能性もあるので、
なるべく水やりは無しにします。

作物のためにも、水はあまりやらない方がいい

水をやらない方がいい理由がもう1つあります。
それは、作物の「性質」に関する事です。

慣行農法でもよく言われる事ですが、
「水をやり過ぎると、根が頑張らなくなる」
という事です。

発芽直後、定植直後に
「元気になあれ」と、水を丁寧に
毎日毎日やっていると、
野菜の方も「あ、この土地は何もしなくても水が手に入るんだな」
と認識し、根を張ることを手抜きしてしまうそうです。

何かの農業雑誌で見たのですが、
キュウリ農家さんは、キュウリの苗を定植するときに、
「植穴をあけたら、あえて底を踏み固めてから定植する。
 すると、キュウリは簡単に根を伸ばせないから、根を必死で伸ばす。
 そうすると、最初の数日は苗がグッタリするが、
 その後は驚くほど成長が早い」とおっしゃっていました。

炭素循環農法においても、最初に硬盤を壊していますので、
「水が足りないのなら、根を下に下に伸ばせ!どこまでも伸びるぞ!」
と、スパルタ的な考え方をしているようです。
根を伸ばし、作物そのものも生育がよくなりますし、
その根が枯れたら、それが微生物の餌にもなり、また畑が浄化されます。

いかに根を伸ばしてやるか
作物そのもののチカラを信じて、水やりは控えめにしましょう。

2~3作目の水やりの目安

2~3作目(2~3年ではなく、作目です)になると
植付け前(播種前)に1日、
植付け後に2日程度すれば十分。
そして、その後の生育中は水やりは一切不要(たとえビニールハウスでもm)
とのことです。
ビニールハウスについては、私は栽培経験がないので、何とも言えませんが、
前述の通り、根が下に伸びる性質を利用すれば、
深い場所から水を吸い上げる事が出来るという事だと思います。

初期は空気を与えるサポートが必要・・かも?

「微生物」の事を考える、というのが炭素循環農法のテーマですが、
主役の1つであるのが「糸状菌」。特に必要なのが酸素です。
水を抜き、空気を与える事が重要です。

転換初期、1作目は特に、
乾燥や、潅水の影響で土壌表面が硬化する事があります。

それを防ぐため、
例えばマルチ、
例えば中耕による通気性の改善が必要です。

ただ、耕起や中耕を何度もすると、微生物の餌を消費します。
特に、低温・乾燥期(日本なら冬)は要注意。

2作目、3作目と畑と微生物の状況が改善していくと、
硬化しにくくなり、
中耕などの乾燥対策は不要となります。

他の乾燥防止の方法として、風除けの効果もある、
周囲に草丈の高い緑肥作物など植えるのも効果的です。

地温と太陽について

化成肥料を入れずに、
微生物の力を借りて栄養素を作ります。
その微生物が元気に活動するために必要なのが「温度」。

糸状菌そのものは、かなりの低温でも活動できますが、
糸状菌が分解したものを更に分解する、バクテリアは、
気温が低くなると、活動が鈍くなります。
その結果、養分供給が足りなくなります。

寒い地域、寒い時期では、地温を上げるための工夫をしましょう。
雑草が多いと、直射日光を遮り、地温が下がります。
また、潅水し過ぎなど、水分過剰でも地温が下がります。

逆に、保温のためにマルチをしたり、
中耕、有機物の表層混ぜ込みなどが有効です。

別のケースですが、
熱帯地域など、地温が上がり過ぎて微生物や作物が苦しんでいる場合は、
先ほどとは逆の方法で、地温を下げる事に取り組みましょう。

また、寒い場合も暑い場合も、土の気層を増やし、
断熱効果を上げるように努めましょう。

雑草の除草について

提唱者の林さんによると、

「転換初期は、炭素を固定するためにも、
なるべく雑草を残し、利用する。
団粒化が進み、土が出来れば
炭素固定能力が劣る雑草に変わり、必要度も落ちるため、
作業性を優先し、除草しても構わない」

と、おっしゃっています。雑草に関して、
「種類が変わる」というのは私はまだ実感としてありません。

ただ、団粒化が進むことによって、
「雑草が抜けやすくなった」というのは、
転換から2年半くらいの畑で感じた事はあります。

作物の残渣はどうする?

慣行農法や、その他の栽培方法でも
「作物の残渣は病気の原因になる事があるから、
 なるべくトラクターを掛ける前に持ち出そう」
という事があると思います。

が、炭素循環農法においては、出来るだけ畑に残します。
病害虫の被害を受けたものも、そのままで土に還します。

病害虫の被害が出たら?

これまでに何度も述べていますが、
虫食いなどは、畑の汚染をキレイにしてくれている現象の一環です。
特に、甲虫(成虫)によるひどい虫食いは
浄化が進んでいる証拠です。
(ヨトウムシなど、幼虫が多い場合はまだ改善が進んでいないという事を意味する)

農薬や、殺菌剤を使わず、虫にしっかり食べてもらいましょう。

まとめ

作物ごとの基本的な栽培管理は、
慣行農法と同じようにやって構いませんが、
やはり主人公は微生物。


転換初期は、「虫食い」もしくは、
少し浄化が進んで「生育不良」だったり、
精神的に辛いタイミングがあると思います。

この時期を乗り越えれば、収量も上がったり、
虫食いも減ったりするので、焦らず頑張ってみて下さい。

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