前回までの内容で、炭素循環農法の
概要やメリット、デメリットについてはご理解頂けたと思います。
キーワードは『微生物を飼う』ということでしたね。
しかし、『肥料も使わずにいい作物が出来る』と言われても、
何だか納得できないと思います。
そこについて、もう少し詳しく解説していきます。
Youtube の方がいいという方は、以下からご利用下さい
敵のはずが味方に?糸状菌について
炭素循環農法では、『菌を飼う、育てることが重要』と繰り返していますが、
具体的に言うと、『糸状菌』という菌がその1つです。
慣行農法や、その他の農法でも
『糸状菌といえば、病気を引き起こす、とても悪い菌じゃないか!』
という方も多くおられると思います。
もちろん、その考えも間違ってはいないのですが、
炭素循環農法においては、慣行農法などと違い、『栄養素は微生物に作ってもらう』という考え方なので、糸状菌が作物に好影響を与え、助けてくれる存在となります。
その点、しっかりご理解頂ければと思います。
糸状菌が分解し、バクテリアがまた分解する
敵だと思っていた糸状菌が、餌(有機物)を食べ、分解する。
そしてその分解された物質を、
また別の微生物(二次分解者)・・例えばバクテリアが分解し、
作物が欲している栄養素を作ってくれます。
そもそも、糸状菌という菌でも、
その種類は軽く100や1000を超え、
まだ未知なものもたくさんあるようで、
その中には当然作物にとって有害なものもいれば、
有益なものもいるわけです。
慣行農法では、『作物に何の栄養を与えるか?』
を考えているわけですが、
炭素循環農法では、
『微生物に何を与えるか?』
また、『どのくらいの量を与えるか?』
を考えるのが重要なのです。
分かりやすいのは耕作放棄地
概要でも軽く触れましたが、最たる例は、耕作放棄地です。
私の近所の農家の方で、
『割と皆知ってることだけど、
耕作放棄地から畑にしたら、最初の1年2年は
肥料無しでも、ものすごい生育が良いんだぞ!!』
と言っているのを聞いた事があります。
(農機具屋さんとの雑談で、私はこの話を聞きました)
でも、そんな方に炭素循環農法の話をしても、あまり信じてもらえません。
『肥料無しで連作して、畑がやせていくばっかりじゃろう?』
と返答されることでしょう。
しかし、
『10年くらい耕作放棄地すれば、何故肥料が要らなくなるのか?』
という問いに
『微生物に快適な状況が10年の間に完成したからだろう』という仮説を立て、
『じゃあ、10年待たなくても、微生物が元気になれば、肥料は要らないよね?』
という考えになるのは、決して私は『無理な理屈』だとは思いません。
ちなみに、耕作放棄地を畑にした場合の欠点は、その雑草の多さ。
私自身も何度か挑戦しましたが、除草作業が大変です(笑)
炭素循環農法を重ねていくと、雑草もほとんど生えない畑になるとのこと・・
ここに関しては私はまだ未体験ゾーンなので、なんとも言えないところですが、
そういう畑を作っていきたいなと思います。
まとめ
炭素循環農法は『微生物を飼う』農法
特に重要になる菌は『糸状菌』
糸状菌は、炭素循環農法においては味方である
耕作放棄地は、肥料なしでも雑草が育っているという現実がある
次回は、微生物たちが住みやすい土を作るには
どうすればいいか、紹介します。
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