前回の記事で、
炭素循環農法では「ミミズがいる畑は浄化中の状態。完璧な状態ではない」と考えているとご紹介しました。
その話の中で「土がフカフカ」という表現が出てきました。
テレビなどでレポーターの方が「土がフカフカですね!いい土ですね!」とよく言ったりしますね。一般の方もよく聞く表現だと思います。
この記事で
『炭素循環農法においては、どういった土が理想的なのか』について解説していこうと思います。
ガチガチの畑について
化成肥料を使いたくない、という方の主張として『化成肥料を使うと、土がガチガチに固くなる』というものがあります。
コレに関しては私も経験があります。
このブログでも何度か述べているように、化成肥料を分解する過程で土壌の微生物が死んでしまい、俗に言う「地力」が弱まります。その結果地面が硬くなります。
この状態になると、地中に酸素が届きにくくなります。その結果、作物の根が元気にならず、生育が悪くなる。
生育が悪くなるから、病害虫の被害にあいやすくなる→農薬や肥料の使用量がトータルで増える…という流れです。
炭素循環農法に限らず、慣行農法においても、「ガチガチの地面は良くない」と指導員さんに言われます。
フカフカの状態とは?
これは慣行農法の教科書にも書いてある事ですが、このガチガチの土を改善するために「堆肥」の投入をすると良い、とされています。
バーク堆肥、牛糞堆肥、汚泥堆肥、キノコの廃菌床堆肥、モミガラ堆肥など、種類は色々ありますが、JA等の栽培ごよみなどにも「10a当たり1tの堆肥を播種の〇〇週間前に入れ、その後石灰を~~」記載があります。
「何故堆肥を入れる必要があるのですか?」
と指導員さんに聞くと、「団粒構造を作るためです」という返事が返ってきます。
炭素循環農法でよく出てくる『酸素を植物の根に届ける事が重要』という事は慣行農法においても共通認識の様です。
堆肥を入れトラクター等でかき混ぜると、もともとあった土と堆肥が混ざり、踏んだ感じが「フカフカ」になります。
そして、前回の記事で紹介した、「ミミズが堆肥を分解してくている」状態になるのです。
フカフカのその先、サクサクを目指せ
炭素循環農法が目指すべき土の音はガチガチでもフカフカではなく「サクサク」です。
サクサクの畑は、畑の上を歩いても、あまり足は沈みません。(フカフカの畑は足が沈む)
ところが、検土杖を地面に刺すと、少し抵抗はあるがいつまでも刺さり続けます。(ガチガチの畑は、力を入れても刺さらない)
別の記事で紹介した、youtube動画が、このサクサクに近いのだと思います。
そして、更に気付きました。
私は日ごろ、ごぼうを収穫する時ショベルカーを使うのですが、先ほどのYouTubeに出てくる畑を掘るときは、まさに「サクサク」という感じで土がほれるのです。
バケット(ショベルカーの先)を軽い力で当てただけでは
そんなに崩れないくせに、レバーをグイっと入れ、掘り取りにかかると、
掘りたい部分だけまとまって切り取れる感じです。
ガチガチの畑や、粘土質の畑では、
何度やっても切り取れず、ショベルカー本体の方が浮いてしまいます。
の畑だと、土を切り取るようには取れず、
バケットから盛り上がっている部分の土が、パラパラ落ちてしまいます。
今までは「ガチガチの畑は掘りにくいなぁー」
くらいにしか考えていませんでしたが、
炭素循環農法に出逢い、「サクサク」の概念を知ってから
「なるほど!!確かに掘りやすい!!」という事を実感しました。
資材を入れすぎるとフカフカになる
炭素循環農法においては、
キノコの廃菌床や、モミガラなどの
高炭素資材を使い、
ガチガチの畑→サクサクの畑
を目指します。(堆肥など、腐敗を伴う資材はNG)
フカフカの畑になってしまった、という事は、
もしかしたら高炭素資材を「入れすぎた」から
という理由かもしれません。
今いる畑の微生物が食べきれないほどの餌(高炭素資材)を投入すると、
食べ残しが発生。それが一時的にフカフカな土になります。
微生物が食べ残したフカフカの土に、ミミズなど他の生き物がやってきて、
それを分解しはじめるわけです。
ミミズが多いのは必ずしもいい状態(ミミズが腐敗を浄化している)ではない、
ということは、前回の記事で紹介した通りです。
適切な餌を与え、サクサクを目指して下さい。
サクサクまでの道のりは、畑の清浄度にもよりますが、
2~3年はかかると思います。
ただ、耕作放棄地の後に作った畑の
あのサクサク感を知ってもらえたら、
挑戦する価値はあるんじゃないのかな?と私は思います。
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