11炭素循環農法 土壌のチェック方法は?②

前回に引き続き、土壌のチェック方法です。

今回は、実際に
「野菜を育ててみて、その出来栄えを確認する」
という方法です。YouTubeご希望の方はこちらからどうぞ。

目次

土壌診断の野菜なら、この野菜!

ズバリ、白菜を植えてみましょう。

炭素循環の提唱者、林さんのホームページには、
種まきの時期などは書いてなかったのですが、
文脈や写真から察するに、
普段通りの栽培暦通りにスタートすればいいのだと、私は解釈しています、

種からまくか?苗を買うか?

土壌の状態を確認するならば、
種からまいたほうがよいのでは?
と私は思います。

今回の目的は、
畑の中に化成肥料や鶏糞などがきっかけで残留している
「無機態窒素」がどれくらい残っているかを確認するのが目的です。
ホームセンターなどで買ってきた苗は、
既に化成肥料などが使われている場合が殆どです。
せっかくチェックをするのなら、ご自分で種を買ってきて、種まきから。
作業スケジュール的に、なるべく早く結果を知りたい方は、
ご自分で育苗してから定植するのがよいと思います。

トラクターや、クワで耕してからで構わない

以前もご紹介しましたが、炭素循環農法においては、
「使える機械や道具は使っていい」
「土壌を浄化する目的なら、土を耕しても構わない」
という考えなので、
種まきの前にトラクター、クワなどで、土をほぐしてからで構いません。
前の記事で述べた、「硬盤を壊す」機械や道具がある方は、
当然壊してから出来ればベストですね。

畝立てはどうする?

提唱者の林さんは、
「土壌の浄化が完了したら、畝立てをする必要はなくなる」
というニュアンスの事をおっしゃっています。
ただ、炭素循環方法を始めて、
初期の頃は仕方ないから畝立てをしてもよい、、、
というような感じの意見をおっしゃっています。
畝立てをすることで、
白菜が根を伸ばすスペースが数センチ分高くなるし、
水はけがよいことで、根腐れのリスクが減ります。

白菜の生育がものすごく悪いと予想される所は、
畝立てをしてもいいのかな、と私は思います。
大丈夫そうな方はベタでいいのではないでしょうか??

水は、やりすぎないように

あなたの畑の状況(硬さ、水はけ、土質など)にもよりますが、
水やりはなるべく少ない方がいいそうです。

林さんのホームページでも、
「水はやればやるほど浅根化」「水不足は潅水(雨)が原因」
と書いてあります。
「日本では2-3作目からは播種前1日、植え付け後2日くらいのみ潅水し、
 その後は1度もない」とも書いてあります。

この文章の解釈の仕方にもよりますが、普通栽培から転換する最初の年は、
発芽(もしくは根が活着)するまで、多少水やりが多くても仕方ないのか・・?
とも私は考えますが・・・
いずれにせよ、ちゃんと発芽して、成長するのが前提として、
なるべく水は少なめにしましょう、という事です。

白菜のチェック方法① 虫食いの有無

さぁ、畑の清浄度を白菜でチェックする、その方法とは?
ズバリ、「虫食い」がどの程度になるかを確認します。
「はぁっ!?せっかく植えたのに虫に食わせるの!?」
と思う方もいると思いますが、その通りです。

以下は、林さんのホームページからお借りした写真です。

芸術ともいえるレベルの虫食い白菜・・・

芸術的なほどの虫食い・・・です。
「虫食い」があるという事は、
「まだ畑が浄化されていない」という事を意味するとともに、
「虫が浄化を手伝ってくれている」という考えになります。
正確には、「白菜の根が腐食分を吸収してくれ」
その結果元気のない白菜の葉を、「虫が食べてくれる」という考えですね。

前年まで、化成肥料などを使っていた方は、
恐らくかなりひどい虫食いが予想されます。
肥料をあまり使わない農法だった方は、少しは被害が少ないかもしれません。
虫食いが全く起こらなければ、畑はかなり清浄化されているという事です。
10年以上の耕作放棄地から畑にした場合は、微生物が元気、土壌がキレイなため、
恐らく虫食いはかなり少ないはずです。

白菜のチェック方法② 虫の種類を見る

虫食いがあったとして、次に見るのが
『何の虫が食べているか』です。
まだまだ腐敗が多いですよー、無機態窒素が残ってますよー
という時期には、アオムシやヨトウムシなどの
「幼虫」がたくさん食べにきます。

畑の硬盤を壊す、微生物の餌をやる・・など、
改良を加えてくると、虫食いそのものが減るのに加え、
幼虫の虫食いが減ってきて、
『甲虫』・・テントウムシダマシとか、成虫になって葉を食べる虫が
やってくるそうです。
なので、同じ虫食いでも、甲虫が増えてきたら、手ごたえを感じて下さい。

という事は、この白菜は出荷できない【デメリット】

畑の清浄度をチェックする『検査キット』として、
白菜を植えた、という事はご理解頂けていると思いますが、
当然、虫食いがひどい場合の白菜は出荷できないと予想されます。
虫は虫で、畑をキレイにするために食べてくれているので、
恐らく慣行農法から転換して最初の1年は、かなりひどい虫食いになり
一般のお客様に出せるような白菜にはならないと思います。

これが、炭素循環農法のデメリットでも述べた
「土の状態が安定するまで時間がかかる」という点です。

農家として、種をまき、世話をしてきた野菜を
みすみす虫に食わせることに、かなりの抵抗があると思います。
私自身も、悔しさがすごい事もありました。

この状況を我慢し、林さんの
「畑の腐敗がおさまり、微生物が喜ぶ環境が出来たら
 虫には食べられなくなる。そもそも、畑から虫が居なくなる」
という言葉を信じて、白菜を食われるのを耐えて待つ事ができれば、
あなたにも清浄化された畑がやってくるのでは・・・と私は思います。

という事は、チェック作業が改良作業にもなっている

土壌のチェックとして、白菜を植えろ
とお話しをしてきましたが、
もしも白菜が出荷できるようならラッキー。既にキレイな畑です。

逆に虫食いにあってしまったら?
それは畑がまだ汚れているという事ですが、
チェック目的だった白菜を育てる事により、
結果として畑を浄化しているという事になります。
こうなったら、白菜は「緑肥」だと思ってみるのはいかがでしょうか?
白菜が根を伸ばす範囲が広くなればなるほど、微生物が喜ぶ環境が整い、
翌年の虫食いが減るはずです。

まとめ

土壌のチェックには、白菜を植えるのがオススメ。

成長した白菜に、虫が来るかどうかをチェック

虫が来たら、幼虫か甲虫かをチェック

転換して間もない時期は、
白菜を緑肥として植えると気分的にラク

今日も最後までお読みいただきありがとうございました。

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